高松地方裁判所 昭和55年(わ)489号 判決 1981年4月21日
裁判所書記官
村尾正弘
本籍
香川県高松市錦町二丁目一番地の四
住居
香川県高松市錦町二丁目一〇番地二二号
歯科医師
川崎要
明治四三年二月二〇日生
本籍
香川県高松市錦町二丁目一番地の四
住居
香川県高松市錦町二丁目一〇番地二二号
医院事務員
川崎ツヤ子
大正八年三月五日生
右の両名に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官松尾司出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
1 被告人川崎要を罰金二〇〇〇万円に処する。
2 右罰金を完納することができないときは金八万円を一日に換算した期間被告人川崎要を労役場に留置する。
3 被告人川崎ツヤ子を懲役一〇月に処する。
4 被告人川崎ツヤ子に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人川崎要は、香川県綾歌郡国分寺町国分二九四番地の七において、川崎歯科医院の名称で歯科医療の業務を行うもの、被告人川崎ツヤ子は被告人川崎要の妻で、同医院の経理全般を掌理しているものであるが、被告人川崎ツヤ子は、被告人川崎要の右業務に関し、不正に同人の所得税を免れようと企て、公表計理上診療収入の一部を除外するなどの不正行為により所得を秘匿したうえ
第一 昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は、九二四八万八六二五円であり、これに対する所得税額は、五〇〇四万九七〇〇円であるのにかかわらず、昭和五三年三月一五日高松市楠上町二丁目一番四一号所在高松税務署において、同税務署長に対し、みなし法人課税方式を選択したうえ、所得金額は、みなし法人所得金額が一五九一万五三一五円、個人所得金額が二五五三万九〇〇〇円であり、これに対する総所得税額は、九五〇万四四〇〇円(みなし法人所得税額四七一万三〇一五円と個人所得税額九五六万五三五〇円の合計額から源泉徴収税額四七六万七八七三円と特別減税額六〇〇〇円を控除し、一〇〇円未満を切捨てた金額)である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もってその差額である四〇五四万五三〇〇円の所得税を免れ
第二 昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は、一億七〇七万一一一六円であり、これに対する所得税額は、五八二一万七九〇〇円であるのにかかわらず、昭和五四年三月一五日前記高松税務署において、同税務署長に対し、みなし法人課税方式を選択したうえ、所得金額はみなし法人所得金額が一二四八万八九六六円、個人所得金額が二八八八万二八〇〇円であり、これに対する総所得税額は七五〇万八七〇〇円(みなし法人所得税額三五四万四四〇八円と個人所得税額一一五〇万七三六〇円の合計額から源泉徴収税額七五四万三〇二一円を控除し、一〇〇円未満を切捨てた金額)である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もってその差額である五〇七〇万九二〇〇円の所得税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
被告人両名の当公判廷における供述のほか、記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)記載の番号1ないし12、19、20、20の1ないし20、21ないし54のとおりであるから、これを引用する。
(法令の適用)
一、被告人川崎要
所得税法二三八条、二四四条一項
刑法四五条前段、四八条二項
刑法一八条一項
二、被告人川崎ツヤ子
所得税法二三八条(懲役刑選択)
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
刑法二五条一項
(裁判官 菅浩行)